最終更新:2026-07-14
古物商許可の制度そのものは、調べればいくらでも情報が出てきます。ここでは詳細な解説は繰り返さず、独立を検討する上で実際に判断材料になる部分だけに絞って整理します。
要点だけ言うと
- 中古品(古物)を仕入れて売る事業には、都道府県公安委員会の許可が必要
- 個人でも法人でも取得できる。取得費用は19,000円、審査期間はおよそ40営業日
- 欠格事由(一定の犯罪歴、破産手続中で復権前など)に該当しなければ、基本的に誰でも取得できる
- 許可を取ると、古物商だけが参加できる業者間市場(古物市場)で仕入れができるようになる
💡 独立を考える人にとっての実利:この制度で唯一「差がつく」のは、古物市場へのアクセス権です。許可の有無そのものより、それによって開ける仕入れルートの方が、事業の成否に直結します。
個人事業か、法人か
退職金を元手に独立する場合、多くの方が「法人化すべきか」で迷います。結論から言うと、開業初期は個人事業のままで十分です。理由は次の3つです。
- 法人設立には登記費用(20万円前後)と、決算・社会保険等の事務負担が継続的にかかる
- 売上・利益の見通しが立たないうちに固定コストを増やすのは、退職金を守る観点でリスクが高い
- 個人事業でも、青色申告特別控除など税制上のメリットは受けられる
法人化を検討すべきタイミングは、課税所得が一定水準を超え、税率構造の面で法人の方が有利になったとき、あるいは取引先から法人格を求められたときです。それまでは急ぐ理由がありません。
営業所をどこに置くか
自宅を営業所にすることも可能です。ただし賃貸の場合は契約上の用途制限を確認し、必要なら管理会社の承諾を得てください。持ち家であれば、この点はほぼ問題になりません。
「実店舗を持つべきか」は制度の話ではなく経営判断です。この論点は別記事で詳しく扱います。
許可後に発生する実務義務
許可を取って終わりではありません。次の3つは、営業開始前に仕組みとして用意しておく必要があります。
| 義務 | 内容 |
|---|---|
| 標識の掲示 | 営業所の見やすい場所に、定められた様式の標識を掲示する |
| 本人確認 | 古物を買い受ける際、相手方の身元を確認する |
| 古物台帳の記録 | 取引年月日、品目、相手方の情報などを記録・保存する |
台帳は法令上の義務であると同時に、そのまま在庫管理・会計の基礎データにもなります。仕組みとして最初から統合しておくと、後の運用が格段に楽になります。
申請時に見落としがちな1つのチェック欄
ここは実務上、非常に重要です。申請書には「行商をしようとする者であるかどうかの別」という欄があり、【する】に丸をつけておかないと、後で古物市場(業者間オークション)で取引ができません。
⚠️ 「行商」とは、営業所の外で古物営業を行うことです。古物市場に出入りして取引する、相手方の自宅に赴いて取引する、催事場に出店する——いずれも「行商する」の許可がなければできません。【しない】に丸をつけたまま許可が下りると、届け出た営業所内でしか取引できなくなります。独立を検討している以上、ここは必ず【する】を選んでおいてください。
すでに許可を取っていて、この点を確認していない方は、許可証の記載内容を今すぐ確認することをおすすめします。次の記事では、業種によって古物市場そのものがどう異なるかを見ていきます。