最終更新:2026-07-14

この連載では海外販売という可能性を前向きに紹介してきましたが、ここで一度、冷静な話をします。「海外に売れば有利」という発想の裏側には、同じ市場に本気で参入している海外の競合がすでに存在するという現実があります。数字で確認していきます。

⚠️ この記事で紹介する数字は、各報道機関が独自取材・推計として報じた情報です。市場規模の推計値は情報源によって幅があります。あくまで規模感をつかむための参考としてご覧ください。

すでに45万人という規模

日本に住み、日本製品を仕入れて中国の顧客に転売する「ソーシャルバイヤー(代購)」と呼ばれる個人事業者は、少なくとも45万人程度いると報じられています。彼らの年間の販売総額は合計で数千億円規模にのぼり、個人で年間1億円を売り上げる人もいるとされます。

これは化粧品・日用品が中心の話ですが、同じ「日本にいて、日本の商品知識と現地ネットワークを持つ個人が、海外顧客に直接つながる」という構造は、中古品・古物の分野でもそのまま起こり得ます。「海外に売れば有利」と考えたとき、すでにこの規模の担い手が存在することを踏まえておく必要があります。

骨董品オークションでの実例

2019年秋、東京の骨董品オークションにおよそ400人の中国人バイヤーが詰めかけたという報道があります。清朝末期の文人が描いた掛け軸は、50万円からのスタートで、最終的に1,000万円まで競り上がったといいます。

参加していた常連バイヤーの一人は「日本の業者を通じて売り出された骨董品は偽物が少なく、信用できる」と語ったと報じられています。つまり、「日本の古物流通は信頼できる」という評価そのものが、海外の資金を呼び込む理由になっています。個人の資金力で、この価格帯の競りに太刀打ちするのは現実的ではありません。

💡 ここから学べること:高額品・希少品のジャンルほど、海外の資金力に価格で対抗するのは難しくなります。個人が戦うなら、大口の資金が入りにくい「中単価・専門性が要るジャンル」を選ぶ方が現実的です。

ただし、海外勢も万能ではない

ここが正確に伝えるべき点です。海外勢の存在は脅威であると同時に、彼らも決して安定した市場で楽をしているわけではありません。

つまり、「中国に売れば高く売れる」という単純な図式は、すでに崩れつつあります。後から同じ土俵に入るほど、条件は厳しくなっていると考えるべきです。

本気で参入する海外勢は、片手間ではない

外国人が日本で正式に古物商許可を取得するには、永住者・日本人の配偶者・定住者・経営管理ビザなど、特定の在留資格が必要です。技術・人文知識・国際業務のような一般的な就労ビザでは、原則として古物営業を行うことはできません。

つまり、日本の古物市場に正式に根を張っている海外プレイヤーは、ビザの取得・会社設立を経た本格的な事業者である可能性が高いということです。片手間の副業ではなく、腰を据えた競合だと捉えてください。

この現実を踏まえて、どう向き合うか

  1. 価格競争のジャンルを避ける

    資金力で勝負が決まる高額品・希少ジャンルの大口競りは、個人が正面から挑む場所ではありません。

  2. 「代行者」というポジションを検討する

    海外バイヤーと直接価格で競うより、前の記事で紹介した「オークション代行」のように、海外バイヤーを顧客として扱う立場の方が、この競争環境をむしろ味方につけられます。

  3. 専門性で「量」の勝負から降りる

    資金力のある海外勢が強いのは、規模と物量がものを言うジャンルです。専門知識・目利きが必要なニッチなジャンルほど、個人の強みが活きます。

  4. 市場の波を前提にする

    中国リユース市場の失速が示すように、海外需要も一定ではありません。特定の販路・特定の国の需要だけに依存しない設計にしておきましょう。

⚠️ まとめ:海外バイヤーの存在は「チャンス」であると同時に「強力な競合」でもあります。どちらか一方だけを見て判断すると、期待外れにも過剰な悲観にもなりかねません。数字を見て、冷静に立ち位置を決めてください。

競合ではなく、顧客として捉え直す

海外バイヤーと価格で競うのではなく、彼らを依頼者とする代行ビジネスという選択肢もあります。

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